「画面を見ているうちに、首がつらくなってくる」
そんな状態で、毎日パソコンに向かっていないでしょうか。
デスクワークで首が痛くなる背景には、画面を見る角度があります。厚生労働省のガイドラインでも、ディスプレイの画面の上端は目の高さとほぼ同じか、やや下が望ましいとされています。画面が低い位置にあるほど、頭を前に倒した姿勢が長くなるからです。
ただし、首の痛みは原因がひとつではありません。この記事では、痛みの出方を分けたうえで、自分で変えられる範囲と、医療機関に相談したほうがよい場合を示します。
- 首が痛くなる理由と、画面の高さの関係
- 痛みの出方で分ける3つのタイプ
- 画面の位置を見直す手順
- 痛みがあるときに、してよいことと避けること
- 受診を考える目安
なお、この記事で扱うのは、首そのものが痛む場合です。肩の上や首のつけ根が重い、張るという場合は、肩こりの記事にまとめています。

首を動かす体操やストレッチの手順は載せていません。痛みの出方によっては、動かすことで症状が強くなる場合があるためです。
デスクワークで首が痛くなる理由
首の痛みは、ひとつの原因で起こるものではありません。ここでは、デスクワークに共通して関わる2つを取り上げます。
まずは、画面の位置から見ていきましょう。
画面の位置で、頭を倒す角度が変わる
首にかかる負担は、画面をどの角度で見ているかによって変わります。頭を前に倒すほど、その重さを首の後ろの筋肉で支えることになるからです。

厚生労働省のガイドラインは、画面の高さについて次のように記載しています。
ディスプレイは、その画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下になる高さにすることが望ましい。
引用:厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」
ノートパソコンを机に直接置くと、画面の上端はこの高さより低くなります。視線が下がるぶん、頭も前へ倒れやすくなります。
同じ姿勢が続く時間も関係する
角度だけでなく、同じ姿勢が続く時間も関わります。日本整形外科学会は、首すじから肩にかけて張る、痛むといった症状の原因として、長時間同じ姿勢をとることを挙げています。

首や背中が緊張するような姿勢での作業、姿勢の良くない人(猫背・前かがみ)、運動不足、精神的なストレス、なで肩、連続して長時間同じ姿勢をとること、ショルダーバッグ、冷房などが原因になります。
引用:日本整形外科学会「肩こり」
厚生労働省のガイドラインも、一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の作業までのあいだに10分から15分の作業休止を設けるよう求めています。
画面の高さを整えても、同じ角度のまま座り続ければ、首の後ろの筋肉は休めません。
かい画面の高さを直しても、同じ姿勢が続けば首の後ろは休めません。
席を立つ回数も一緒に増やしてみてください!
痛みの出方で分ける3つのタイプ
同じ首の痛みでも、出方によって対応が変わります。ここでは、3つのタイプに分けて取り上げます。
まずは、動かすと痛い場合から見ていきましょう。
タイプ①|動かすと痛い
首を回す、横に倒すといった動きで痛みが出る場合、痛む方向には動かさないでください。日本整形外科学会も、寝違えの説明のなかで同じことを挙げています。


動かすと頚が痛いので、寝違えが起こった時には痛い方向には動かさずにいる方が良いでしょう。
引用:日本整形外科学会「寝違え」
同じページには、数時間から数日で痛みが改善していくようなら、徐々に首を動かしていくことで治っていくのが一般的だとも書かれています。時間の経過とともにラクになるかどうかが、ひとつの目安になります。
タイプ②|動かさなくても痛い
じっとしていても痛みが続く場合は、自分で対処せず医療機関へ相談してください。姿勢を整えても収まらない痛みは、姿勢以外の原因が関わっている可能性があります。


日本整形外科学会は、寝違えの痛みが治らず診察で異常がある場合について、頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症性神経根症といった病気の可能性を挙げています。これらに当てはまるかどうかは、診察や画像の検査を通じて分かるもので、自分では判断できません。
夜間や早朝に痛みが強くなる、発熱を伴うといった場合も同じです。道具や姿勢の工夫で解決する範囲を超えています。
タイプ③|しびれや力の入りにくさを伴う
手のしびれや、指先の動かしにくさを伴う場合は、早めに整形外科を受診してください。首から出る神経の症状として現れているかもしれません。


日本整形外科学会は、頚椎症性脊髄症の症状を次のように説明しています。
ボタンのはめ外し、お箸の使用、字を書くことなどが不器用になったり、歩行で脚がもつれるような感じや階段で手すりを持つようになったりという症状が出ます。手足のしびれも出てきます。
引用:日本整形外科学会「頚椎症性脊髄症」
ボタンや箸といった日常の動作で気づける点が、このタイプの特徴です。首の痛みと結びつけにくいため、思い当たる場合は受診のときに伝えてください。



施術の現場では、しびれを伴う首の痛みには触りません。
原因が分からないまま触ると、かえって痛みが強くなることがあるためです。
まずは画面の位置から見直す
自分で変えられるもののなかで、最初に手をつけたいのが画面の位置です。ここでは、確かめる3か所を取り上げます。
画面の高さから見ていきましょう。
画面の上端を目の高さかやや下に合わせる
画面の上端を、座ったときの目の高さかやや下に合わせてください。厚生労働省のガイドラインが望ましい状態として示している高さです。


ノートパソコンを机に直接置いている場合、この高さには届きません。台に乗せて高さを足すか、外部モニターを使う方法があります。具体的な道具の選び方は、肩こりの記事にまとめています。
台を使う場合は、キーボードを別に用意してください。画面を上げたぶん、キーボードの位置も上がると、今度は肩が上がります。


画面との距離は40cm以上あける
画面との距離は、おおむね40cm以上あけてください。ガイドラインが視距離の目安として示している数字です。


おおむね40cm以上の視距離が確保できるようにし、この距離で見やすいように必要に応じて適切な眼鏡による矯正を行うこと。
引用:厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」
距離が近いほど、画面をのぞき込む姿勢になりやすくなります。文字が読みにくくて近づいている場合は、表示の倍率を上げるほうが先です。
上げすぎにも気をつける
画面は、高くすればよいというものではありません。ガイドラインの解説も、できる限り目の高さより高くならないようにすることが望ましいとしています。
画面が目より高いと、あごが上がって首の後ろを縮めたまま見上げる形が続きます。下を向く場合とは逆の負担です。


画面の上端がポイントです。目の高さを超えていれば高すぎ、大きく下回っていれば低すぎます。



画面の高さを合わせても、椅子が低ければ見上げる形になります。
椅子の高さから順に整えてください。
痛みがあるときに「してよいこと」と「避けること」
首が痛いとき、自分で何をしてよいのかは迷うものです。ここでは、公的な資料で確かめられた範囲を3つに分けて取り上げます。
まずは、温めることから見ていきましょう。
張りや重さの段階なら温める
首すじから肩にかけて張る、重いという段階であれば、温める方法が挙げられています。日本整形外科学会が、予防と治療の両方で示しているものです。


予防:蒸しタオルなどで肩を温めて筋肉の血行を良くし疲労をとる。入浴し身体を温め、リラックスする。
引用:日本整形外科学会「肩こり」
治療:温熱療法(蒸しタオル、入浴などで筋緊張をやわらげる)
ただし、これは筋肉の緊張による張りや重さに対しての記載です。痛みが出ている状態で温めてよいかどうかまでは明らかにされていません。
なお、冷やすことについては、首の痛みに限った公的な基準を確かめられませんでした。
熱を持っている、腫れているといった場合は、温めるより冷やすほうが選ばれます。判断に迷うのであれば、どちらもせずに受診してください。
痛い方向には動かさない
動かすと痛みが出る方向には、動かさないでください。日本整形外科学会が、寝違えの説明で示している対応です。


伸ばせばラクになると考えて、痛む方向へ倒す方がいます。痛みが強くなる場合は、その動きが合っていません。
痛くない範囲であれば、日常の動作はそのまま続けられます。動かさないというのは、首を固めて過ごすという意味ではありません。
我慢して押す、伸ばすことは避ける
痛みを我慢して押す、伸ばすという対応は避けてください。日本整形外科学会も、次のように注意を促しています。
可能なら緩やかにストレッチするのも有効な場合がありますが、痛みを我慢してストレッチするのは逆効果の場合があります。マッサージが有効な場合もあるかもしれませんが、余計に痛くなる場合には良くありません。
引用:日本整形外科学会「寝違え」
強く押したあとに一時的にラクになることがあります。ただし、押した刺激で感じ方が変わっているだけの場合もあり、翌日に痛みが強くなることもあります。


この記事でストレッチの手順を載せていないのも、同じ理由によるものです。痛みの出方は人によって違い、合う動きも変わります。



施術では、痛みが出ている首には基本的に触りません。
受診を考える目安
ここまでの内容は、デスクワークによる一般的な首の痛みを想定しています。次のような症状がある場合は、様子を見ずに整形外科へ相談してください。
- 手足にしびれがある
- ボタンのはめ外しや箸の使用が不器用になった
- 歩いていて脚がもつれる感じがある
- じっとしていても痛みが続く
- 夜間や早朝に痛みが強くなる
- 発熱を伴っている
- 数日たっても痛みが改善しない
日本整形外科学会は、寝違えの痛みが治らない場合について、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症性神経根症、頚椎症性脊髄症といった病気の可能性を挙げ、整形外科の受診をすすめています。
思い当たる症状がある場合は、姿勢や道具の工夫より先に受診してください。
デスクワークの首の痛みについてよくある質問
ここまでに触れられなかった疑問をまとめました。
- デスクワークで首が痛くなるのはなぜですか?
-
頭を前に倒した姿勢が続くことが大きく関わります。
画面が低いほど視線が下がり、頭の重さを首の後ろの筋肉で支える時間が長くなります。長時間同じ姿勢をとることは、日本整形外科学会が首すじから肩にかけての症状の原因として挙げているものです。 - 首が痛くなったときのストレッチを教えてください。
-
この記事では手順を載せていません。
痛みの出方によって、合う動きが変わるためです。日本整形外科学会も、痛みを我慢してストレッチするのは逆効果の場合があるとしています。まずは痛む方向に動かさないでください。 - 首が痛いときは温めるべきですか?
-
張りや重さの段階であれば、温める方法が挙げられています。
日本整形外科学会が、蒸しタオルや入浴を予防と治療の両方で示しています。ただし痛みが出ている状態については記載がありません。熱を持っている場合は冷やすほうが選ばれますが、分からない場合は受診してください。 - 首が痛くならないためにはどうしたらいいですか?
-
画面の高さと、同じ姿勢が続く時間の2点を見直すのがおすすめです。
画面の上端を目の高さかやや下に合わせ、40cm以上離します。あわせて、1時間を超えて座り続けないように休みを挟みます。 - 首が痛くなるのを防ぐグッズはありますか?
-
画面の高さを変えるものがおすすめです。
ノートパソコン用のスタンドやモニターアームがこれにあたります。選び方は肩こりの記事にまとめています。首サポーターは、デスクワークでの効果を示した資料を確かめられませんでした。 - 肩と首が両方痛くなるのはなぜですか?
-
首と肩は、同じ筋肉でつながっているためです。
日本整形外科学会は、首の後ろから肩、背中にかけて広がる僧帽筋を、肩こりに関係する筋肉の中心として挙げています。首だけ、肩だけに分かれない理由がここにあります。
まとめ|首の痛みは、画面の高さと痛み方の見分けから
デスクワークの首の痛みは、画面の位置と、同じ姿勢が続く時間から見直せます。この記事の内容を振り返ります。
- 画面が低いほど頭を前に倒す時間が長くなる
- 動かすと痛い場合は、痛む方向に動かさない
- 動かさなくても痛い場合や、しびれを伴う場合は受診する
- 画面の上端は目の高さかやや下、距離は40cm以上あける
- 張りや重さの段階なら、蒸しタオルや入浴で温める方法がある
- 痛みを我慢して押す、伸ばすことは避ける
まずは画面の上端の位置を確かめてください。目の高さより大きく下がっているなら、台を使うか外部モニターを検討します。あわせて、画面との距離も40cm以上あけます。
ここまでが、自分で変えられる範囲です。
じっとしていても痛む場合や、手のしびれを伴う場合は、環境を整えても解決しません。姿勢や道具を工夫しながら様子を見るより、整形外科で診てもらうほうが早いでしょう。
首の痛みは、パソコンに向かう時間が続くかぎり何度でも戻ってくるものです。画面の高さを一度合わせておけば、毎日かかる負担を減らせます。まずは、画面の上端が目の高さとどれだけ離れているかを見るところから始めてください。



首は、痛みが出てからだと選べる手段が少なくなります。
張りや重さの段階で画面の高さを直しておくほうが、手間はかかりません。








