デスクワークの運動不足|1日8,000歩と筋トレ週2〜3日が国の目安

デスクワークの運動不足を解説する記事のアイキャッチ。ノートパソコンを開いたままのデスクを離れ、歩き出している人のイラスト

「運動が大事なのは分かっている」

「でも、何から始めたらいいか分からない」

デスクワークをしていると、身体を動かす機会はめっきり減っていないでしょうか。

厚生労働省のガイドは、デスクワークを座位行動の例として名指ししています。

仕事をしている時間は、運動量として数えられません。

私はリラクゼーションセラピストとして10年近く、のべ10,000時間の施術をしてきました。運動の習慣がない方に触れる機会も多くあります。

この記事では、デスクワークの運動不足をどう埋めればよいのかをまとめました。

結論から申し上げると、厚生労働省のガイドは次の3つを目安として示しています。

国が示す3つの目安
  • 歩行などの身体活動を1日60分(約8,000歩)
  • 息が弾む運動を週60分
  • 筋力トレーニングを週2〜3日

3つ目の筋力トレーニングは、2023年のガイドで新しく加わった項目です。

この記事でわかること
  • デスクワーク中の時間が運動に数えられない理由
  • 8,000歩のうち、歩行で稼ぐ必要がある歩数
  • 筋力トレーニングを自宅で始める方法
  • 運動を始める前に確かめること

運動不足を自覚しながら手をつけられずにいる方にこそ、最後までご覧いただきたい内容です。

この記事を書いた人
シゴカラ 編集部

  • 現役リラクゼーションセラピスト
  • 2016年から累計10,000時間の施術実績有り
  • 日本リラクゼーション業協会 リラクゼーションセラピスト検定1級

目次

国が示す運動の3つの目安|歩行・運動時間・筋トレ

デスクワークの運動不足について、国は数字で目安を出しています。厚生労働省が2024年1月に公表した「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」です。

成人に向けて、次の3つが推奨事項として挙げられています。

順に見ていきます。

歩行などの身体活動を1日60分(約8,000歩)

日常の動き全体では、1日約8,000歩以上が目安です。

強度が3メッツ以上の身体活動を週23メッツ・時以上行うことを推奨する。具体的には、歩行又はそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分以上行うことを推奨する(1日約8,000歩以上に相当)。

引用:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

ここでいう3メッツは、ふつうの速さで歩いたときの強さにあたります。

メッツとは何か?

メッツは、身体活動の強さを表す単位です。静かに座っている状態を1メッツとして、その何倍のエネルギーを使うかで表します。引用:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

そして8,000歩のうち、歩行で稼ぐのは約6,000歩です。

60分の歩行は約6,000歩に相当します。また、3メッツ未満の(家事などの)生活活動は1日約2,000歩に相当します。このため、1日の合計は約8,000歩となります。

引用:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

歩数計をゼロから8,000歩まで伸ばす、という話ではありません。残りの約2,000歩は、日常の動きで自然にこなせます。

息が弾む運動を週60分

運動としての時間は、週の合計で60分が目安になります。

強度が3メッツ以上の運動を週4メッツ・時以上行うことを推奨する。具体的には、息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上行うことを推奨する。

引用:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

1つ目との違いは、目的です。通勤や家事は、生活のなかで自然に生まれる動きです。

こちらは、健康や体力のために計画して行うものを指します。

週の合計ですので、1回20分を3回に分けても届きます。

筋力トレーニングを週2〜3日

筋力については、週2〜3日が目安です。

筋力トレーニングを週2~3日行うことを推奨する(週4メッツ・時の運動に含めてもよい)。

引用:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

引用にもあるとおり、2つ目の週60分に含めて数えても問題ありません。

筋トレに充てる時間しだいで、2つ目の目安も同時に満たせます。

歩く機会は通勤や買い物でも生まれますが、筋力を使う場面は意識して作る必要があります。

筋力トレーニングは自重の運動から始めるのがおすすめ

3つの目安のうち、筋力トレーニングだけは新しい項目です。

2023年のガイドで初めて推奨に加わったからです。

筋力トレーニングについては、今回新たに追加した推奨事項であるが、週2~3日という頻度を推奨するにとどまった。

引用:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

進め方の原則も示されています。

ただし、新しく加わった項目のため、何を何回という種目までは記載されていません。

自重で行う腕立て伏せも筋トレに含まれる

いきなりジムの会員になる必要はありません。とくに始めたばかりの方は、自重でできることが増えていく感覚が、継続のモチベーション維持に役立つと考えています。

筋力トレーニング(筋トレ)には、マシンなどを使用するウエイトトレーニングだけでなく、自重で行う腕立て伏せなどの運動も含まれる。

引用:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

自分の体重を負荷として使う運動も、ガイドのいう筋トレに含まれます。具体的には、腕立て伏せやスクワットです。

ただし、自重でかけられる負荷には限りがあります。

慣れてきたら、マシンを使ったトレーニングも取り入れてみてください。

特定の部位ではなく全身にまんべんなく

ガイドの勧め方は、全身をまんべんなく鍛えることです。

特定の部位を重点的に鍛えるのではなく、胸、背中、上肢、腹、臀部、下肢などの大きな筋群に負荷がかかるような筋トレを全身まんべんなく行いましょう。

引用:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

肩こりがつらい方にはまず上半身から、腰が重い方にはまず下半身からと答えることもあります。

お客様から相談を受けたときの話で、ガイドの勧め方とは少し違います。

ただし、それは目の前の訴えに合わせた答え方です。全身を意識するに越したことはありません。

腰を支える筋力については、デスクワークの腰痛対策で解説しています。

日常生活より重い負荷をかけ、休息日もとる

負荷をかけるのと同時に、筋肉を休ませることも必要です。

日常生活レベル以上の負荷で筋トレを行い、少しずつ負荷を高めていく(=漸進性過負荷の原則)ことが重要です。負荷は重さや回数で調整可能です。また、しっかりと筋肉を休める時間(休息日)をとることも同じく重要です。

引用:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

週2〜3日という頻度には、休息日を挟むという意味も含まれています。毎日やればよいというわけではありません。

ここまでが、国の示している内容です。ただし、実際に取り組んでいる人は少ないのが現状です。

国内において、筋トレを実施している人の割合は9~29%であり、年齢別にみると18~19歳で29%と最も多く、年齢が上がるとその割合は減少します。

引用:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
かい

ジムをおすすめした方は、来店の間隔が空いていきました。
肌で感じた範囲ですが、その方々から「運動を始めてから調子が良い」と伺っています!

座ったままの運動では限界がある

デスクワーク中にできるものとして、座ったままの運動が紹介されることがあります。

ただし、それだけでは国の示す目安に届きません。

デスクワークは1.5メッツ以下の座位行動にあたる

デスクワーク中の状態は、ガイドのなかで座位行動と呼ばれています。

そのため、推奨されている身体活動には数えられません。

座位行動:座位や臥位の状態で行われる、エネルギー消費が1.5メッツ以下の全ての覚醒中の行動(例えば、デスクワークをすることや、座ったり寝ころんだ状態でテレビやスマートフォンを見ること)

引用:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

どれだけ長時間デスクワークをしても、その時間は運動ではありません。

推奨されているのは3メッツ以上の身体活動

目安として数えられるのは、3メッツ以上の身体活動だけです。

ふつうの速さで歩いたときの強さにあたります。

デスクワークの1.5メッツ以下、ふつうの速さで歩く3.0メッツ、階段をゆっくり上る4.0メッツを、同じ人物の3つの姿勢で並べた図
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」生活活動のメッツ表をもとに作成

1.5メッツと3メッツでは、強さが倍ほど違います。

座ったまま腕や脚を動かす程度では、この差は埋まりません。

動かないよりは、少しでも動かすほうがよい

目安には足りないという話であって、完全に無駄になるわけではありません。

また、強度を問わず、少しでも身体を動かすことが健康によい影響を及ぼすことが報告されています。

引用:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

目安を満たす運動とは別に、続けておく価値があります。

座っている時間の区切り方は、デスクワークの休憩の取り方にまとめました。

日本人は座りすぎている

ここまでの目安に対して、日本人の平均は届いていません。

順に見ていきます。

歩数の平均は、目安の8,000歩に届いていない

20歳以上の平均は、1日およそ6,300歩です。目安の8,000歩までは、1,700歩ほどの差があります。

令和元年の調査結果において、20歳以上の歩数の平均値±標準偏差は6,278±4,231歩/日(男性:6,793±4,564歩/日、女性:5,832±3,863歩/日)でした。

引用:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

ガイドの換算では60分の歩行が約6,000歩ですので、17分ほど多く歩けば埋まる計算です。

男性の38%が平日8時間以上座っている

平日に8時間以上座っている人の割合は、男性で38%です。およそ5人に2人が該当します。

平成25年の国民健康・栄養調査によると、平日1日の総座位時間に関して8時間以上と回答した男性は38%、女性は33%もいることが明らかになりました。世界20カ国における平日の総座位時間を調査した研究でも、日本人の総座位時間は世界的にみてかなり長いことが報告されています。

引用:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

日本人の座っている時間は、世界と比べてもかなり長いほうです。

デスクワークであれば、仕事の時間だけでこの8時間に近づきます。

座っている時間が長いほど、死亡リスクは高くなる

座っている時間が長い人ほど、死亡リスクは高いと報告されています。

座位時間と死亡リスクの関係を検討した34件のコホート研究のメタ解析では、座位時間の増加に伴い死亡リスクが増加することが報告されています。

引用:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

ひとつの研究ではなく、34件を束ねた結果として示されたものです。

ただしガイドは、1日60分以上の中強度以上の身体活動によって、座位行動による死亡リスクの低下が期待できるとも記しています。座る時間そのものを減らせない仕事であっても、1日60分という目安には手が届きます。

始める前に気をつけてほしい2つのこと

目安の数字は示されていますが、いきなり達成する必要はありません。

いまの運動量は人によって違いますので、自分のペースで進めてください。

無理のない範囲から始める

いまできる範囲から始めて、少しずつ増やしていってください。

個人差を踏まえ、強度や量を調整し、可能なものから取り組む。今よりも少しでも多く身体を動かす。

引用:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

8,000歩でも週2〜3日でもなく、ガイドが推奨事項の一番上に置いている内容が大切なポイントです。

ただ、始めたばかりの時期ほど、つい張りきってしまいがちです。

“やりすぎ”の身体活動量はまだ明らかではありませんが、怪我や体調に注意して無理をしないことが大切です。

引用:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

どこからがやりすぎなのかは、まだ分かっていません。

手がかりになるのは、怪我をしていないかと、体調が落ちていないかの2つだけです。

痛みがあるときは、運動より先に相談する

身体に痛みが出ている場合は、動かす前に原因を確かめてください。

身体活動によって悪化する可能性のある合併症・運動器の痛みや変形がある場合があるため、事前に医師等の専門家に相談する。

引用:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

痛みのなかには、身体を動かすことで悪化するものがあります。

それがどれにあたるかを、自分で判断するのは不可能でしょう。

運動は始めるより、継続することが大切

運動は1回やって終わりではなく、継続することに意味があります。

続ける価値と、その難しさの両方を順に見ていきます。

4週間の歩行で睡眠の質が変わった

続けた先で何が起きたかを示したのが、職場での研究報告です。

日本人の労働者490人を対象に、1日1万歩を目標とした歩行介入を実施した研究報告で、対照群は設定していませんが、4週間、歩行介入することで、睡眠の質が改善しました。特に、運動習慣がない集団では、歩行介入により睡眠の質がより大きく改善しました。

引用:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

歩かなかった人と比べた研究ではないため、歩行だけが理由とは言い切れません。

それでも運動の習慣がない人ほど変化が大きかったという点は、これから始める方にとって心強い材料になります。

継続できる方はほとんどいない

「続けること」こそ難しいものです。長年現場でお客様と関わるなかで、ストレッチや運動を継続されている方はごくわずかです。

かい

私自身は筋トレを週3回、1回1時間ほど続けています。
それでも間が空くと、徐々に調子が落ちていくのを感じます…

始めることは簡単ですが、4週間後も同じことを続けられるのは難しいでしょう。

ガイドも、専門家への相談を勧めている

自分に合った運動内容を1人で決めるのは、簡単ではありません。

必要に応じて、運動指導の専門家に自分の状態にあった筋トレのプログラムについて相談しましょう。

引用:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

自重の運動であっても、負荷のかけ方や身体の使い方は人によって違います。最初に一度確かめておけば、自己流のまま続けずに済みます。

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デスクワークの運動不足についてよくある質問

デスクワークの運動不足について、よく調べられている質問をまとめました。

1日8,000歩は、歩数計の数字だけで足りますか?

問題ありません。

ガイドは「60分の歩行は約6,000歩に相当します。また、3メッツ未満の(家事などの)生活活動は1日約2,000歩に相当します」と内訳を示しています。歩行だけで8,000歩を目指す必要はありません。

運動不足の解消にグッズは必要ですか?

必要ありません。

ガイドは筋力トレーニングについて「マシンなどを使用するウエイトトレーニングだけでなく、自重で行う腕立て伏せなどの運動も含まれる」としています。歩行についても器具の指定はありません。

筋力トレーニングは何をすればよいですか?

腕立て伏せやスクワットから始めてください。

ガイドが自重トレーニングの例として挙げている2つです。狙うのは「胸、背中、上肢、腹、臀部、下肢などの大きな筋群」で、全身をまんべんなく鍛えることが勧められています。自宅での回数は「できなくなるところまで実施する」が最も簡単な目安です。あわせて「血圧の急激な上昇を抑えるために、息をこらえないように注意してください」とも記されています。

座ったままできる運動では足りませんか?

足りません。

ガイドが推奨しているのは3メッツ以上の身体活動で、座位行動は「エネルギー消費が1.5メッツ以下の全ての覚醒中の行動」と定義されているからです。ただしガイドは「強度を問わず、少しでも身体を動かすことが健康によい影響を及ぼすことが報告されています」ともしています。何もしないよりはよい、という位置づけです。

毎日やったほうがよいですか?

毎日である必要はありません。

ガイドは週2〜3日を推奨したうえで「しっかりと筋肉を休める時間(休息日)をとることも同じく重要です」としています。一方、歩行などの身体活動は1日60分が目安ですので、こちらは毎日の積み重ねになります。

運動すれば肩こりや腰痛はなくなりますか?

なくなるとは言い切れません。

ガイドが挙げているのは「循環器病、2型糖尿病、がん、ロコモティブシンドローム、うつ病、認知症等」のリスクで、肩こりや腰痛は含まれていないからです。腰を支える筋力については、デスクワークの腰痛対策にまとめました。痛みが続く場合は、整形外科へご相談ください。

まとめ:いまより17分多く歩くところから始める

デスクワークの運動不足について、押さえておきたい点をおさらいします。

本記事のまとめ
  • デスクワーク中の時間は、運動に数えられない
  • 目安まで足りないのは1日17分ぶん
  • 筋力トレーニングは自重から始められる
  • いちばん難しいのは続けること

この記事の前提にあるのが、デスクワーク中の時間は運動に数えられないという点です。

座位行動は1.5メッツ以下と定義されていて、推奨されているのは3メッツ以上の身体活動になります。

まず歩数に注目してください。20歳以上の平均は1日およそ6,300歩で、目安の8,000歩までは1,700歩ほど足りません。ガイドの換算では、17分ほど多く歩けば埋まります。

次に筋力トレーニングです。2023年のガイドで新しく加わった項目で、週2〜3日が目安になります。

自重で行う腕立て伏せやスクワットも含まれるため、いきなりジムの会員になる必要はありません。

そして、継続することがいちばん大切です。

4週間の歩行で睡眠の質が変わったという報告がある一方で、続けられる方はごくわずかというのが現場での実感です。

ただし、いま痛みが出ている場合は話が変わります。動かす前に、整形外科などで原因を確かめてください。

かい

もみほぐしに頼りたくないというご相談を受けたときは、堂々と運動してくださいとお伝えしています。

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